先日来、みなさんから有難いコメントをたくさんいただきました。
厚くお礼申し上げます。
さて、その中で、自営大工さんとしての先輩の立場から、えぞ大工さんが、ある工務店社長さんのこんな言葉を紹介して下さいました。
「商売やるんなら大工を卒業することだな。」
「職人が駄目なのではない。卒業するんだ。」
これを読んで、自分の思うところを率直に紹介させていただきたく思います。
僕にとって、「商売をやる」のは、目的ではなくて、手段です。別に、どうしても工務店の社長になりたいわけじゃあない。
では何の手段かというと、大工仕事を、自分なりに工夫を凝らして、楽しくやる為の手段です。
楽しくといっても、チャラチャラした意味ではありません。
意味のわからない矛盾した設計や、儲けや流行に振り回されたような家造りではなくて、自分の経験と能力を力いっぱいに発揮して、思い切り大工仕事がしたいのです。これが目的です。
そうするときっと、自分もお客さんも、楽しい。これが、究極目標。
そのあたりは、あまり説明しなくても、何のことか、よく解っていただけるような気がします・・。
で、その目的の為には欠かせないのが、材料や設備、人員を確保するための利益。
利益は、仕事の質を上げるために必要な”自分の時間”を確保する為にも是非とも必要です。
商売が目的ではないと言いましたが、商売をするにはするわけで、商売するなら利益を忘れてはいけません。利益が無いと、関係するみんなに迷惑がかかり、家庭の運営にも行き詰まり、お客さんにも十分なサービスが提供出来ません。
利益の他に必要なのが、お客さんのご希望を叶えるために、直接取引出来る、元請けの立場です。思い描く家造りをする為には、工事全体を自分で直接差配することも必要です。
・・・そんな理由で、困難だとは知りつつも、自分で店を持って、切り盛りすることに、挑戦し続けている訳なんです。
ただ、覚えが遅いんで、出世が遅れているんですけどね(笑)。
(でも、生き残っては、います。)
いつの間にか手段が目的になってしまって、はじめの目標を見失ってしまう。という話は世間に多くあふれていると思いますが、僕は、上のような目的を忘れたことは、一度たりともありません。
そんなわけで、「大工を卒業」という言葉を、一体自分なりにどういうふうに理解すれば良いのか、いま、迷子ちゃんになっているところであります。
そもそも、一棟墨付けして起こしたことが無いので、見習いを卒業したかどうかすらも怪しいですし・・・。
・・・墨付けも、やはり自分で元請けをしないと、ほぼ、挑戦出来ないんですよね。
あと、僕の親方が昔、ボソっと言ってました。
「道具を手から離したら、現場の痛みはわからなくなるものだ。」
これが頭から離れなくて、道具を置くということは、まったく考えられないんです。
とにかく、本当にいちばんやりたいことは、大工仕事と家造りです。
極論すれば、他のことは、その為の手段に過ぎない。
以上が、僕の、仕事に対するスタンスです。
それでは、現実に戻ることにします。
皆さん、ありがとうございます。かさねてお礼申し上げます。 ではでは。